「おはよう!阿部!」
あぁ、こいつは今日も笑顔で教室に入ってきた、入学当初とはすごい違いである。
「はよ・・・。」
「あら、元気ないわね。どうかしたの?」
どうしたもこうしたも俺は昨日のことで頭が破裂寸前なんだ。
今日は、火曜日か。
がポニーテールだもんな。こうなると判りやすく便利な頭である。
どうしたものか俺はポニーテールにさっきから目が行く。
いや、そうじゃないだろうな。ポニーテールのに。目が行くんだ。
どうしたんだろう・・・俺。
今日も穏便に生活を進めていかなければ。
に機嫌を崩されてはおしまいだ。
「・・・ねぇ、阿部!阿部ったら!」
「なんだ。」
「野球っておもしろいかしら?」
「・・・あぁ!すげえ楽しいよ!」
それは共感できるぞ!特に捕手な!
「捕手・・・結構地味なとこついてくるわね。でも、阿部はそれなんでしょう?」
「地味ってお前・・・・。」
「野球っていいわね。なんか一つになるってすばらしさがあるわ。」
「まぁなぁ・・。でも女子でもそういうのあるじゃねえか。バスケとか。」
「判ってないわね!女子はなんかねちっこさがあるのよ。団体になると!バスケ然り、バレー然り、
楽しい部活なんてありゃしなかったわ!まったくいやになるわ。」
盛大にふぅとはため息をつくと前にかかったポニーテールを後ろにかきわけるようにして戻した。
「そんな陰険なのか女子って?」
「陰険のクソもないわよ!まったく二度とやりたくないわ。普通の部活はつまらないもの。」
待ってくれ。じゃあ野球部は普通ではないといいたいのか?
「私からしてみればね。野球なんてやったことないから大分斬新なイメージがあるわ!」
にっこりとモンシロチョウが飛び交いそうな勢いでは笑った。
「それに楽しそうだもの、私野球は一度もやったことがないわ。小学校のときベースボールを体育でやった
一度きりかも。私はたしか・・・・・えーと、内野だったはずね。でもちゃんととれたのよ?水谷じゃあるまいし。」
「ひ、ひでぇ!ひでえ!」
水谷が泣いてこっちに食いつく。
泣くなよ。本当のことだろう。このクソレフト。
「でも、打てたときはすっごい楽しかったのを覚えてるわ。」
もう一回今度は儚げな雰囲気を装い懐かしむよう彼女は笑った。
誰だ、こんな美少女を生み出したのは。神か、神様なのか。
「なぁ。、一回打ってかない?」
俺は試しにを部活に誘ってみた。
「え?・・・いいの!?」
案の定。普段できないこと=おもしろいことなんだろう。
は子供のように目をきらきらさせこちらを見てきた。
カキンと乾いたいい音が響き渡る。
はマシンから出てくるボールをすべて打ち返していた。
「楽しいわね!これ!」
がすごい笑顔でボールを打ちかえす。
「もういいわ!楽しかった。ありがとう!」
もうそりゃ一ヶ月前とは別人と思うほどの笑顔。
「楽しかったのか?」
「ええ!とってもね。こんなに打ったのははじめてよ!本当にありがと!」
ポニーテールが元気よくゆれる。
本当に・・・なんでこんなにも目が行くんだろうか。
「しかし、お前なんでもできるな。」
そういえば、こいつはなんでもこなす。
だが、性格なのだ。性格。
とりあえず。まあ、今はの生活を、俺は穏便に進めなくてはいけない。
「ね、また。打たせてね。」
は後ろで手を組んで振り向いてこういった。
これは穏便に進めるというか。俺の心臓がもつだろうか。俺の心が持つだろうか。
、俺さ、実はポニーテール萌えかもしれない。