「その後は察しのとおり、榛名がシニアに入った。」
「なんでは久しぶりって・・・?」
「はシニアやめてから多分顔合わせづらかったんだろうな・・・。」
「なんでアイツは野球をやめたんです?」
「女だから・・・。三星にいたときの後遺症ってやつかな。
きっとまだ気にしてんだろうね。ソフトと野球は違うし。」
「・・・・三橋・・・!」
「な、何、阿部くん!」
「甲子園行くぞ!なんとしても!」
「う。うん!」
「俺たちは敵同士だけど、のためにできることはある。
お互い、頑張ろう。」
「はい!」
「は、はい。」
12.Je l'aime maintenant.
朝になり私は目が覚めた。
隣には廉がうつぶせになって寝ていた。
「廉ったら・・・投手が風邪ひいたら大変なんだぞ。」
ふと微笑むと布団を優しく廉にかけた。
「廉。ありがとう。」
そして時計を見た。
時間は7時・・・・。
「れれれれれれれれ、廉!起きなさーーーーーーーーーーーーーーい!!!!!!!!」
「むお!」
「あああ、朝練遅刻するんじゃないののののののの!!?」
「う、お!」
「早くしたくして!あと、あああああ、」
私は布団から出ようとした。
「駄目!」
「!?」
「、は寝てないと!駄目!」
「れ、廉・・・・。」
「俺は、一人で平気っ!だから!」
無理矢理寝かせられる。
あーあ、何時の間にこんなに男らしく
立派になったんだろう。
私はそのまま深い眠りについた。
「、お・・・ろ・・・て。」
「廉・・・?」
視界がぼやぼやする。
起きなきゃ・・・・。
「、おきろって。」
「ん・・・?
「はよっす。」
「あああべあべあべ!!くん!」
「ぷ、お前らほんと兄弟だよな・・・。どもりすぎ・・・。」
「ななな、れ。れれ、ん」
「ゆっくり喋れ。できれば日本語喋ってくれ。」
「な、何で?来たの?れ、廉は?」
「三橋はまだ学校。俺は空いてたから勝手に入ってきた。無用心だなおまえ。」
「・・・・。なんで?来たの?」
「それは・・・っ。」
(おまえが好きだからに決まってんだろ。)
「プリント届けに。」
ごそごそと鞄を探ってはいと渡される。
「ありがと。明日・・何かあったっけ?」
「んー、や。特にねーよ。いつもどおりもってけ。あとこれ、」
「ん?」
「篠岡から。ノートの写しだとよ。」
「うわー。ありがたーい。」
「目笑ってねえぞ。」
「ちよちゃんにはありがたいとは思うけどね・・・。
はぁ、ノートまとめるのめんどくさい・・・。」
「ま、風邪のせいだからしゃーねえだろ。」
「うん、そうね。そうなんだけどね・・・・。」
「熱下がったのか?」
「昼にはなんとか・・・。下がったかな。」
「そうか。」
予想以上に気まずい・・・・。廉早く帰ってきて・・・・・。
私が涙目になってるときだった。
「あれ、この写真って。」
「あー、シニアの?」
「おう。やっぱお前髪短かったな。」
「そうね。」
「こいつってキャッチャー?」
「ええ。私の球受けてくれたキャッチャー。
やっぱり私だけ女でしょ?だから、私、余計まわりから反感かって。」
「・・・・。」
「そのときその人が随分私のこと助けてくれてね。私が野球続けてられてたの
ほとんど彼のおかげだった・・・・。」
「そっか。」
どうして。
阿部くんには
何も関係ないのに。
話そうとしてるのか・・・・
「ごめん。関係ないのに・・・こんなこと話して。」
「いいよ。俺は聞くから。」
「・・・なのにね。」
「うん。」
「なのに・・私っ何も・・・してあげられなかったよ・・!
本当に頑張ってくれたのに・・・・。」
「本当にそうか?」
「え?」
「本当に何もできなかったか?」
「・・・・。」
「おまえ、エースで四番だったんだろ?それだけ。役にたったってことじゃねえか。」
「・・・・っ。」
「だろ?」
「うん、だと、いいな。」
「だから、そんなに泣くな。」
阿部くんと話すと私が今までいやだった黒いもやもやが
とれていくように、光っていくように綺麗になっていく。
「ありがとう、阿部くん。」
「ん。」
「じゃあ、俺そろそろ帰るわ。」
→手を掴む│
→見送る│
→玄関まで一緒に行く│