「おはよ・・阿部くん・・・。」
「はよ。」
何時の間にか
私の心を埋めているのは阿部くんだった。
08.La personne qui enterre mon coeur.
「お、そういやさ、明日夏大埼玉大会の組み合わせ抽選会あるんだけど。」
「へぇ・・・どことあたるんだろうね。」
「お前も来いよ。」
「・・・・・はい?」
わ。ワンモアプリーズ。
「だから、お前も来いって。」
「ななな、なんで!!?」
「モモカンから言われてる。」
「えええ・・・・?」
「大丈夫だって。皆と会ってるだろ!」
阿部君は滅多に見せない微笑いを見せた。
きゅん・・・
ああ。その笑みに弱いんだろうなー・・・・。
「う、うん。わかった・・・。」
そして抽選会当日。
「こんにちは!も、百枝ーさん?」
「あっは、監督でいいわよー!ちゃんだったよね!こんにちは!」
百枝監督さんは素敵な人だなぁ・・・!
「ちゃん、私ね。」
「は、はい。」
「あなたのファンだったの!」
ぎゅうっと抱きしめられる。胸に殺されるんじゃないかと思った。
「わ、わ!」
「シニアのときから見てたのよー!すっごい野球センスだったよね!」
「ありがとう・・ございます。」
「うん、だからね!ちゃんにも是非マネジ、やってほしいの!」
「う、うー・・・考えておきマス・・・。」
列に並ばされると凄い人だった。
「うーわ・・・・・。」
「っ、」
「廉?」
「すごいっ人だねっ!」
「だねー。」
「ちょっと、暇?」
「うん、待ってる時間が・・・」
「雑誌みようか!」
「そうだねー。」
いつもどおりの兄妹の話題だった。
野球雑誌を開いていつもどおりの会話。
「あ、」
「どうしたの?」
「ドアラ・・・私ドアラ好き・・・。」
「そ、そか、コアラみたいだもんね。」
「うん。かわいい。」
にこと笑うとにこっと廉も笑う。
そこに会話はないけれど私達双子はそれでいい。
「・・・なんか、あいつら、会話ねーなー・・・・。」
「まぁね・・・。」
「なぁ。阿部?」
「へ、あ、そうだっけ・・・?」
「マジでお前関心ねーなぁ・・・。」
「そーでもねーって。」
「花井ー・・・。」
「どうした栄口ー。」
「腹痛くて・・・。便所のそばにいたい感じ・・・。」
「お、おれも!」
「三橋。お前もかよ!神経系の下痢なんざなっさけねえなあ!」
阿部は少し怒ったように言った。
「ち、ちが、おし、「どっちでもいいからさっさといけ!!!!」
さすが花井キャプテン。皆を静めた。
そういって栄口と廉はトイレに向かった。
会場に入って私は阿部君花井君の隣に座った。
「ねーねーちゃん。三橋といつも何しゃべってるのー?」
水谷君が話しかけてくる。
「えー・・野球とヴァイオリンとかご飯とか勉強とかテレビとか・・・気が向いたら喋るよ。」
「なんかさっきから気になってたんだけどお前ら会話ねーなぁ・・・。」
「え、そうかな?花井君も妹さんとかと気が向いたらでおしゃべりしない?」
「そー・・かな・・・・。てかお前俺に妹居るって知ってたっけ?」
「感かなぁ?やっぱり妹さんだった?」
「す、すげー・・・・。」
一方のトイレ
「なー三橋ー。さっきちゃんと喋ってたけどあんま会話なかったよね?」
「あ、うん、は、好きな人と居ると無口になるんだ!」
「へ、へえー・・・・。」
さかえぐち は じゅうだい な ひみつ を きいた !
戻って会場
阿部の携帯がなった
『あべっくん!榛名さんっいいひとだよ!』
「榛・・・名・・・?」
「はるな・・・・。」
「元希くん・・・?」
が一番目を見開いた。
がたんと席をたつと一方的に走り出しとかちこっと誰かにがぶつかった。
「いたっ」
「いって。」
榛名元希本人だった。
「も、元希・・・くん?」
「・・・・?」
「元希くん・・・・ず、ずっと会いたかったよぉ・・・・」
「、」
ぎゅうっと榛名がを抱きしめた。
「元希くん・・・元希くん・・・・。」
「ごめんな・・・・。」
西浦全員がその光景におどろいていた。
「何だ・・・あれ?」
「榛名・・・さん?」
「元希さん?」
謎につつまれたその光景も、榛名とのその関係もまったく判らなかった。
しばらくしてが涙目で帰ってきた。
「ご、ごめんね。席立っちゃって。」
「あ、いや、いいよ。」
威勢のいいファンファーレとともに栄光は君に輝くが流れた。
そして、花井くんがクジをひく。
西浦高校は桐青とあたってしまった。
「まじかよー・・・。」
「強豪だなー。」
「勝と・・ぜゲンミツ・・・に・・・!」
「よ・・・・きは・・・メ!」
にその声は聞こえなかった。