(ありえん・・・)
ころころと手からボールペンが転がり落ちて
そのまま机の上を転がる
開け放した窓から入ってきた風が、一瞬、ボールペンを押した
そうするとボールペンはすぐにとまる
そんなに風は強くないはずなのにと考えて、ただ単に
ボールペンの動き自体がとまったんだと気づく
太陽の光に照らされて、机の上に置かれた真っ白な紙が光った
その眩しさに目を細めると、あたしは分厚い資料集に頬っぺたをくっつけた
外からは、元気な運動部の声が聞こえる
(あー・・・進路・・・決まんない・・・よ)
真っ白な紙が、早く書けといわんばかりにその存在を主張していた
正直ちょっとうざい感じだぞ、もう少しぐらい待ってくれてもいいじゃんか
まぁそうはいったってあたしはもう3年なわけですし・・・
進路だって決めてないとやばいんですけど・・・
でもなーいきなり渡されて書けだなんてさ
自分の人生こんな急に決めれるわけないっての
ドンッと重い音がして机から資料が落ちた
あたしはチラッとそれを見てもう見た資料だということを確認すると
拾うこともせずにそのまま視線を戻した
とはいっても、最初から何を見ていたってわけでもないから
ただ虚空を見つめるだけなんだけど・・・
かーえーりーたーいー
けど憎らしいことに提出期限は今日までらしいから
これを提出しないと帰れない
・・・・・いっそ燃やしてしまおうか
本気でそう思い始めていたその時だった
「しっつれいしまーす」
小生意気で、どこか気だるそうな声が教室に響いた
入り口に目をやると隆也が荷物を持ってこっちを見ていた
あぁ、そういえば今日は久しぶりに一緒に帰る約束してたんだっけ
「おっせぇよ」
「先輩に対してその口の聞き方は何だ。隆也」
「彼氏に対してもその態度は冷たいと思います。先輩」
「あーそーですね、すみませんでしたーだ」
膨れ面をして目をそらすと、隆也が笑いをこらえているのが分かった
これじゃぁどっちが先輩何だか分からない
隆也はこっちに来るとあたしの机の上を見て眉間にしわを寄せた
多分資料の多さに驚いてるんだろう
「もう少し帰るの待ってくれない?
これ提出しなきゃいけなくて・・・」
「・・・進路希望調査?今日提出なんスか?」
「そー・・・提出しなきゃ帰れないんだよ
でも決まってなくってさ、どーしたもんかなぁって・・・」
「ふーん・・・」
指でコロコロとシャーペンを遊ばせた
二人の間に会話は一切なくて、あたしはシャーペンをいじったり
考え事をしたりで忙しく、会話がないことにすら気づかなかった
まるでこの教室にはあたししかいないような気さえしてくる
面倒だなぁ・・・本当面倒だ
3年生なんかになりたくないよ
どうして大人になるにはこんな面倒なことを沢山しなきゃいけないんだろう
どうせならずっと学生でもいいよ
そんな事を思って、すぐに心の中で自分の考えを笑った
小学生の時は早く大人になりたいと思ったのに、今はなりたくないと思っている
ずっと学生でいいだなんて無理に決まってる
でも、いろいろな事が不安で不安で仕方がない
あぁ・・・結局アタシはいつまでたっても子供なんだな
隆也が、自嘲気味に笑ったあたしを見ているのに気がついた
・・・・・・変な人だと思われたかもしれない
それを言ったら「今更ッスよ」とか返されそうだから口に出さないけど・・・
「あーーーーー!!嫌!!帰りたい!!」
「はぁ・・・ちょっとシャーペン貸してください」
「ん?んー、どーぞ」
言われるままに隆也にシャーペンを渡す
すると隆也は進路希望調査の紙まであたしから取り上げると
スラスラと文字を書き始めた
第1希望も第2希望も第3希望も、全部『未定』という文字で埋まった用紙が
あたしの手の中に帰ってきた
またコイツは・・・勝手なことを・・・
「何すんだ隆也ー」
「いいじゃないッスか、未定で
決まってないんでしょ?」
「決まってないけどさ・・・こんなの出せるわけ・・・」
「“今日提出”ってだけで、別に“今日進路を決めろ”
なんて言われて無いんでしょ?だったらいいじゃないッスか」
なるほど・・・変に頭がきくな
「そーだね・・・よし、これでいいや
ハイ、終わり!!終わりだー!」
「簡単な人だなぁ」
「・・・・・・・・だってさ、今はさ、あんま考えたくないんだよね
進路。考えたら隆也と離れるってのが思い浮かんじゃうからさ・・・
やっぱ、ずーっと一緒にいたいしね!」
「っ・・・!あんたはどーしてそーいう恥ずかしいことを・・・!」
「えー?だって本当だよー?
なんかね、何であと1年遅く生まれてこなかったんだろうって思う」
「いいですから!!もうそれ以上言わなくても分かってますから!!」
「あ、ひょっとして隆也・・・照れてる?」
「うるさい!!!」
あらら、怒られちゃった
ま、照れ隠しだって分かってるんだけどね
あたしが肩をすくめるのと、隆也が教室を出るために歩き出すのは同時だった
う、おおおおおい!!!ちょ、いくらなんでも置いていくか!?
「た、隆也!!!待ってよ!あたしまだ帰る準備してないー!!
もしもーし!!!隆也!?たーかーやーくーん!?」
うわもぉ完璧無視だよあの人!!
あたしは急いでカバンに荷物をつめると、教室を飛び出した
走りながら、さっき教室を出て行く時に見えた隆也の顔は
赤かったななんて思い出して、思わず顔が緩む
あんな顔みれるのは、あたしだけなんだ
うーん、特別って感じで嬉しいな!
でも注意しないと、隆也すぐ怒るもんなー・・・
そんな事を考えてると、階段で隆也に追いついた
どーせゆっくり歩いてくれたんだよ、この人は
数段下に居る隆也を見ながら、そのままの距離を保って階段を下りる
普段はあたしのほうが小さいから、隆也より目線が高いっていうのは
どこか新鮮な感じがする
「ねー、隆也ー、怒ってますかー?無視しないでくださいー
あたしが悪かったからーねー
泣くよ?そろそろさん泣いちゃうよ?
ほら泣く、3・2・1で泣く。ハイ3・2・・・」
「先輩」
やった!話しかけてもらえた!
って、本当これじゃぁどっちが先輩何だか分からない!!!!
しっかりしろあたし!!先輩としての威厳がないぞ!
隆也は数段下でくるっとこっちを向くとあたしを見上げて
言いにくそうに目をそらした
何を言われるか分からないあたしは、ただ黙って隆也の言葉の続きを待つ
「先輩・・・」
「何?」
「どっか進学しても、就職しても・・・メールしてください
オレだってメールも電話もします
ちゃんと、邪魔にならない程度に連絡しあって
ちょっとでも暇ができたらどっか遊びに行きましょう
絶対に・・・」
言ったあとに恥ずかしそうに顔を背ける
あぁそうか、不安なのはあたしだけじゃなかったんだ
隆也も同じ様に不安で、将来なんか定まらないんだ
定まっちゃったら・・・本当にそのときのこと、考えないとだもんね
「心配しないでも、あと1年も先のことだよ」
「1年しかないんスよ」
確かにそうかもしれない
「あんま、置いてかないでください」
そういった隆也が、あんまりにも可愛かったから
あたしは「抱きついていいですか!?」と言った
そうしたら隆也は顔を赤くして「やです」と言ってまた歩き出した
ちぇー・・・
あたしは一度その場で顔を緩めたあと、すぐにまた階段を下りた
今度は隆也に追いついて、隆也と一緒に降りる
それがなんだか無性に幸せで、また顔が緩んだ
「顔、んな緩んでたら垂れますよ」
「うっさい、後輩」
うん、やっぱ幸せだ
わたしの将来、
未だ未定
(ずっと一緒なら、ずっと未定でもいいかななんて思えてしまうんだ)
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相互記念として月ちゃんに捧ぐ
・・・って、いつまで待たせる気だって話だよね!
ご、ごめんなさい!遅くなった上にこんな駄文で・・・
こんなものでよかったら、受け取ってやって!
本当に遅くなってすみませんでした
これからもよろしくね!大好きだよ!
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翡翠ちゃんからいただいちゃいました!
あえて言おう!私は翡翠ちゃんと阿部を愛しているということを!(そろそろ黙ろうか。
すてきすぎて昇天した夜月氏ですがもう!阿部!
もう阿部ったら!←なんださっきから。
さっきからにやにやでれでれしっぱなしでした。
素敵すぎる記念をありがとう!
誓おう私は翡翠ちゃんと阿部を愛しているt(ry
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